クラウディア

2019年11月10日日曜日

刑事事件┃マスコミ報道と犯人の身分

事件の社会的影響度や被害状況にもよるが、日々様々なメディアによるニュース記事によって、我々は刑事事件を知ることが多い。
無職による犯罪は、毎日どこかで必ずと言って良いくらい報道されている。
そして、いわゆる無職による窃盗犯罪が多い理由は、過去のブログでも述べた。

無職に”犯罪者”が多い理由

 メディアは警察による発表をもとにニュース記事として、報道している。
では、犯人を逮捕した警察では何を基準に犯人の身分を特定しているのだろうか。

まず第一には、犯人本人の供述によるもの。
逮捕後の警察による取り調べの過程で、犯人本人からの供述をもとに特定する方法が挙げられる。
警察では、本人の供述をもとに裏付けを必ず取る。
ここで本人の供述と相容れない事実が判明した場合は、”自称”を本人の供述の身分に加える。
逮捕後の犯人の枕詞として、マスコミ報道でも見受けられる”自称○○”がこれに相当する。

逮捕の事実によって、犯人が所属していた団体や組織は、当人を除籍する場合がある。
会社であれば、懲戒解雇である。
この場合、警察発表の時点ですでに当該身分が存在しない場合は、犯人の身分に関して、”元”を付ける場合がある。
マスコミ報道で、”元○○”と報道される場合がこれに相当する。
有罪判決を受けない限り、その身分を失わない場合は、引き続き犯人が持っていた身分が使われる。
これは、公判における人定質問でも有効だ。

ただし、民間企業では、就業規則等で逮捕即身分を喪失する規定もあるようだ。
この場合、逮捕の事実で身分を喪失させるので、”元会社(役)員”というような呼称となるのだろう。

とはいえ、事件発生直後のマスコミ報道で、犯行当時に会社員であった者が、
逮捕直後に除籍されたとしても、直ちに”無職の○○”と報道される可能性は極めて低い。
その場合、警察発表も”会社員の○○”というように発表するからだ。
ゆえに、事件発生直後のマスコミ報道で、”無職の男”と発表された場合は、
犯行当時の身分も無職であった可能性が極めて高くなる。

ところで、逮捕は犯人が証拠を隠滅したり、逃亡する恐れがある場合にされるもので、こうした危険性がないと判断された場合は、逮捕という手続きが省かれる場合もある。
逮捕されずに起訴される場合を、いわゆる在宅起訴という用語をマスコミでは使用している。

ちなみに、マスコミでは逮捕された者を”容疑者”と呼称しているが、法律用語ではない。
法律用語では、被疑者と呼ぶ。公訴提起されたあとの故障は、法律用語では被告人と呼ぶが、マスコミ報道では”被告”と呼ばれている。
”被告”は法律用語としては、民事事件で原告の対になる当事者として使用される用語だ。